■整備事業経営対策WG会議における自動車整備事業活性化方策
<事例 ~7~>株式会社ロータスTMパートナーズ
取材日:令和4年12月1日 (木)
取材日:令和4年12月1日 (木)
「補助金を活用した6社共同経営による新拠点の設立」
<取材先概要>
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- ① グループ名
- 株式会社ロータスTMパートナーズ
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- ② 代表者名
- 代表取締役 高野 憲治
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- ③ 共同経営参画メンバー
- 有限会社釡井自動車商会
- 株式会社エース自動車
- 有限会社おうぎオート
- 北日本自動車株式会社
- 谷内自動車工業株式会社
- 株式会社カーライフ中野
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- ④ 主に実施している事業
- 自動車の整備・板金
(特定認証事業場、令和4年12月指定取得)
(整備要員数5名、うち鈑金兼務2名)
(年間入庫台数 960~1,200台、年間車検入庫台数 180台) - 損害保険代理店
(自動車・火災保険等、生命保険の募集) - ガソリンスタンド(セルフ式、ガソリン・軽油)
- ロードサービス
(月間利用台数 30台) - レンタカー
(保有7台:主に代車活用、他に自社代車3台保有)
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- ⑤ 定期的に実施している事業
- 事業としてではないが、6社の意思疎通は常に必要であり。重要。設立当初は月1回以上のミーティングをしていた。現在は何か協議する必要があることが生じたときに会合を開催し、情報の共有を図っている。
<事業場_事務所外観>
<代表取締役 高野 憲治 様>
<取組み事例>
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- ⑥ きっかけ
- 取締役(室谷眞一氏、加賀地区ロータスクラブ加盟の辰口自動車代表取締役)がロータスクラブの会長在職時に自主廃業していく事業者を何度となく目の当たりにしており、これから先の各事業場における人手不足、設備の老朽化等が発生して行くことは必然であると想定し、今後、自動車整備事業者が生き残るためには地域の事業者による連携が不可欠と考えていた。
その室谷氏から、共同経営における新しい設備の共同使用と顧客管理の利便性の向上など、広域での共有サービスというアイデアについて、お話しいただいた1本の電話が全ての始まり。
これを受け、能登地区の「ロータスクラブ」加盟6社へ声掛けし、本事業がスタートした。
なお、七尾市に事業場を計画したのは、ロードサービスにおける拠点やコールセンター等の利便性を考慮したものである。
<グループ6社の位置関係> | |
②有限会社釡井自動車商会 | 約 3Km |
③株式会社エース自動車 | 約 6Km |
④有限会社おうぎオート | 約 8Km |
⑤北日本自動車株式会社 | 約22Km |
⑥谷内自動車工業株式会社 | 約60Km |
⑦株式会社カーライフ中野 | 約75Km |
ロータスTMパートナーズはがき大チラシより |
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- ⑦ 事業開始までの流れ
- 創業からの事業展開に向けて、平成28年度革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金(いわゆる「ものづくり補助金(経済産業省)」)を活用して設備設立資金(2億円)の一部に充当する計画とした。
補助金申請は石川県の公益財団法人の支援を受け、6社のうち5社から申請を行い、補助金を活用して設置した機器には、それぞれ、どの申請者が設置した機器なのかを標示している。
事業場としては平成29年6月1日に設立し、平成30年1月に自動車整備の認証を取得し、平成30年4月に正式に事業開始となった。
なお、現在指定整備工場として指定申請しており、最終的な審査を受けているところ。
<補助金活用設置機器>
それぞれの機器に補助金を受けた工場名が表示されている
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- ⑧ 事業の特徴
- ガソリンスタンドを併設した自動車整備工場。
利用者にVIP会員証を発行し、給油価格の割引、車検等の利用による更なるガソリン割引、その他各種メンテナンス特典を付与。
<併設したガソリンスタンド>
- 6社顧客データのクラウド利用による共有化
6社が同一の整備業ソフトを利用することにより、同じクラウドに保有するユーザーの整備履歴等を含むデータを管理することが可能になるため、ユーザーが6社のどこの工場に入庫しても、皆が同レベルの顧客対応を行うことが可能であり、能登地区ユーザーからの顧客対応に対する信頼度の向上に繋がっている。 - 保険事業の分担契約化
保険の取扱手数料は保険代理店となっている事業場の取扱件数によって変わるが、ロータスTMパートナーズに保険契約を集約化することにより取扱台数が増え、保険会社からの手数料が増額となり、収益性も高くなる。
<VIP会員証>
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- ⑨ 効果(取り組んでよかった点)
- 事業開始によるメリット
事業開始から、約5年が経過し、認証整備工場から指定整備工場になろうとしているところで、まだ明確に好事例とは言い切れないが、ガソリンスタンドを併設していることにより、自動車専用道路のICに近いことも相まって、自動車ユーザーのランドマーク的な存在として認知度が上がっているように見受けられるところはメリットと感じている。 - 6社の経営者同志での経営についての密な話し合いの場を持てること。
それぞれの事業場が親の代からの知り合いでもあることで、意思疎通がし易く、なおかつ、意見交換もし易い環境となっていること。
また、各メンバー同士の事業場間はある程度の距離があり、ユーザーのバッティングがなく顧客の取り合いがないこと。
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- ⑩ 気づいた点、工夫点
- 6社の物理的な距離感をどう改善していくか
現在は、ものづくり補助金を受けているという制約もあり、各社から社員を出向していただいている部分もある。本事業場から遠い事業場までは、60km、75kmと物理的にも遠い距離であり、生産性とのバランスを考慮して、更に効果的な人員配置や当事業場の活用方法に工夫して行く必要性を感じているところ。 - 法改正等における整備業の先進的なチャレンジの場となっている
特定整備における共同利用事業場の活用として、エーミングツールなども最新の設備を取り揃え、先進技術の共有などの対応にチャレンジしていける。
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- ⑪ PRしたい点
- これからの人材不足、設備投資における共同経営の先進的な一例となれる様にしていきたい。また、今後の地域自動車整備業としても事業承継問題が課題とされるため、グループ会社の各地域において事業承継に悩んでいる事業場や跡継ぎのいない事業場の受け皿になれればとも考えている。
共同経営をして行くには、何社であろうと、意思疎通がしっかりでき、同じ方向を向いていないと継続して事業ができないと考えるので、考えを共有できる仲間で取り組むことが大事である。