■個別自動車整備事業者が取り組む活性化方策
<事例 ~12~>
神奈川県自動車整備商工組合
令和6年1月23日(火)
自動車整備事業活性化方策好事例について
(人材不足に対する取り組み)
神奈川県自動車整備商工組合
令和6年1月23日(火)
自動車整備事業活性化方策好事例について
(人材不足に対する取り組み)
人材不足はどの業界でも喫緊の課題となっており、人材獲得競争は激しさを増している。
このような中、マーケティングや人材確保のノウハウを活かし、女性や外国人従業員を積極的に採用して、人材不足解消を図っているハザワテクノ株式会社様を好事例として紹介する。
<取材先>
【本社工場 外観】
(左)梶原 博美会長様 (右)針谷 郁美社長様
<沿革概要>
ハザワテクノ(株)は1965(昭和40)年に運送会社の車両整備部門より整備事業者として独立。現在、本社工場と第2工場により指定整備事業者として営業車・働く車両を中心に、車検、点検・整備から板金・塗装や車両・用品の販売も行っており、年間入庫台数は8,000台に近づいており、10,000台を目指して業務の拡大を図っている。
2015(平成27)年にはISO14001の認証取得、2021(令和3)年には電子制御装置整備の認証取得を行うなど、常に新たな制度へ積極的に取り組んでいる。
<従業員等の状況>
役 員 4名(うち女性3名)
従業員 17名(事務要員4名、整備要員13名)
事務要員:女性3名(フロント2名、経理1名)、外国人1名(ミャンマー)
整備要員:国内9名、外国人4名(ベトナム3名、スリランカ1名、全員2級自動車整備士資格を保有)
従業員 17名(事務要員4名、整備要員13名)
事務要員:女性3名(フロント2名、経理1名)、外国人1名(ミャンマー)
整備要員:国内9名、外国人4名(ベトナム3名、スリランカ1名、全員2級自動車整備士資格を保有)
<活かされたマーケティング、人材確保のノウハウ>
会長は1991年に家業都合に伴い急遽ファッション業界から転身され経営に携わることとなったが、ファッション業界で学んだマーケティングという概念がないなど、驚きの連続であったと当時を振り返る。
そのような中、事業成長には顧客の稼働率向上が必要と、指定整備の取得を契機に、土・日車検の実施や納車引取サービスの導入など顧客の満足度向上に努めた。平成10年のニューサービス導入時には、“点検車検”、“整備車検”という2タイプの料金表を作り「営業マンいらずの工賃表」と言われ好評を博した。
現状の課題は仕事の獲得より整備士の獲得である。近年、残業が少なく有休が多いことがもてはやされているが、インフレに移行する経済の中、どれだけ年俸を上げ社員の生活を守れるかが最も重要と考え、レバーレートや作業効率の見直しなどにより、従業員が皆で協力して売り上げ達成した時の達成感、残業で修理して感謝された時の充実感が感じられる職場づくりをし、優秀な人材確保に繋げている。
<女性従業員の積極的な採用>
(採用に取組んだきっかけ)
- 幹部役員3名が女性という理解度もあり、フロントや営業と言ったサービス業務には細かい気配りができ、同時に複数の業務処理能力などは女性が優れていると判断した。
(募集・採用)
- 直接応募、知人紹介。
(採用後の状況等)
- 子育て中のスタッフも多く、その環境をお互い理解できるため、相手の立場に立った働きやすい環境を整えることができている。
<外国人従業員の積極的な採用>
(採用に取り組んだきっかけ)
- 整備要員の不足により、恒常的に残業が多かったため、各人の負担への改善を考えていたところ外国人在留資格「技術・人文知識・国際業務*」を知り人材確保に繋がると考え、又、加入している業界団体「ロータストラックネット」が整備専門学校向けに外国人2級整備士奨学金制度を立ち上げた情報をいち早く得られたことも一つの要因であった。
- *在留資格「技術・人文知識・国際業務」:大卒程度の学歴要件を満たし、自然科学や人文科学分野の専門技術職、もしくは母国の思考・感受性を活かした国際業務に従事する外国人の方を受け入れるための在留資格。なお、更新回数には制限が無く、自動車整備での就労先がある限り日本で働き続けることが可能。
(募集・採用)
- 当初、ロータストラックネットの認定校奨学制度を活用する予定としていたが事情によりロータストラックネット事務局の勧めで一般枠での募集を知り、採用年月はそれぞれ異なるが、外国人従業員の採用につながった。彼らが当社に入社を決めた要因の一つは残業と給与等のバランスが認識と一致した結果と理解している。
(採用後の状況等)
- 人材確保により、稼働率が重要となる顧客営業車にとって、土日営業や仕事終わりでの修理対応と対応時間の迅速化が図られたことが大幅なサービス改善と考えている。
- 日本人従業員は、良く働き意欲的に仕事に取り組む外国人従業員にとても好意的で、技術指導も潤沢に行えている。
- 外国人従業員たちは日本が好きで、生活環境にも溶け込み、日本での生活を楽しんでおり、全員、長期間日本で働くことを希望していて、結婚・育児・住宅など計画を立て実行している。
- 外国人従業員に限らず、仕事・給与と休暇取得にはそれぞれの思いがあるため、当社では年2回、社員全員と個別に面談し、新年度7月にそれぞれの休暇・残業・年俸の希望を踏まえた整備売上予算を立てるとともに、休暇についても予算達成の業務に支障のない範囲で全員が協力して調整している。
<今後の活用方針>
- 女性従業員・外国人従業員ともに、今後も積極的に採用するが、特に女性の採用に力を入れ、結婚・出産・介護休暇など計画的に取得できるような体制を整えたい。
- 女性従業員・外国人従業員ともに、努力次第で目指すポストに就くことの出来る職場環境を整備したい。
- 外国人従業員が日本に定住し、家族とともに安定した生活が送れるよう、できる限りバックアップしたい。
- 日本人整備士の数名が4~5年後に定年を迎えるため、増員を計りたい。
<業務効率改善について>
(実施改善策)
- 情報・連絡事項をスピード感をもって社外・社内で共有できるようLINE等を活用している。
- 早い時期からDX認定を取得し、社員教育にあたっている。
- 作業効率を高めるため、工場内に設置したカメラにより作業状況を把握し、状況に応じて人員配置の変更をしている。
(今後の業務改善計画)
- 2年間で2t車から大型車両までを扱うトラック専業工場となることを目指し、乗用車の修理・車検業務から撤退するための顧客理解を得ていく。
- それに伴い、トラック用の設備・技術のレベルアップを図るとともに、架装・特装関連の業務も実施していく。
<その他職場内活性化ツール等>
- 健康診断の人間ドック検診義務化
- 社員イベントでの“家族ぐるみのお付き合い”
- 会長による手作り弁当の提供。希望者に週6日、栄養バランスを考えた弁当が提供され、皆に大好評。
【会長の手作りお弁当】
<最後に>
(新技術対応について)
- 大型車のエーミングに早い時期から、支部内の事業者と協力してメーカーの講習会を開くなど取り組んでおり、診断機の活用により作業効率が良くなっているが、メーカーからの情報が鍵となるため、一層の情報公開を望んでいる。
(業界について)
- 自動車整備業界、自社の発展のためには、事業者と振興会・商工組合の連携と相互の理解・協力が不可欠。会長・社長とも本部活動、支部活動に積極的に関与し、自動車整備三団体を盛り上げていきたいと意欲的に考えている。
【本社工場 シンボルマーク】
【第2工場 外観】